Masahall Full Stack

マーシャルアンプとリッチー・ブラックモアとジョージ・リンチとスティーブ・ヴァイが大好きなマサハルのブログです。時々こっそりと過去記事を改訂しています。(笑)

HORNBY SKEWES TREBLE BOOSTER(コピー試作機完成)※音源追加

※最後に音源追加しました。


少々時間がかかりましたが、やっとトレブルブースター(以下TB)が完成しました。
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まずは聴いてください。

77年のフェンダーピックアップを乗せたフェルナンデスFSTを、6550パワー管の74年のマーシャルスタックで鳴らしました。(夜なのでアッテネーター使用)


Honeby Skewes copy treble booster

1.TBなし

マーシャルフルアップの音です。ストラトらしいジャキジャキした音ですが歪が弱いです。

2.TBノーマルモード

トレブルというよりミッドレンジをブーストして、歪とバイト感が増していますね。VOXブライアンメイアンプのようなピーっという発振に近いハウリングもなく、耳障りな感じがありません。VOLノブでブースト量が調整できますが、これはVOL10の状態です。

3.TBフルレンジモード

スイッチを切り替えると、出力の100kΩ抵抗を外した音が出せます。リッチー大先生が行っていたモディファイですが、抵抗を外すとハイパス=ローカットが機能せず太い音になるので、結果的にほぼフルレンジブースターになると思います。(ケースのアースが不十分なせいか、ブーというハムノイズが目立つので要修理)

 

トレブルブースターというとトップエンドをブーストしてキンキン、シャリシャリのトレブリーな音になるような先入観がありますが、それは誤りです。

特に今回コピーしたHORNBY SKEWESについては、ノーマル状態でミッドレンジブースターであり、ブラックモア改造においてはストラトの トーンの細さを太く是正するフルレンジブースターと考えるべきでしょう。

 

なお、ネットで出回っている回路図は2種類あって、0.001uFと0.022uFのコンデンサが逆になっています。間違った回路で組んでしまうと、ローミッドのカットオフ周波数が高くなり、音が小さくなってしまうので、要注意です。(なぜ知っているかというと私自身間違ったからw)

NOSのオリジナルトランジスタマスタードキャパシタ、カーボン抵抗など、当時に準じたオールドパーツを使いましたが、その効果がどれほどか確認するため、2号機は現在普通に流通しているパーツで組んで比較してみようと思います。

 

※アースを取ってノイズが小さくなったので、マーシャルのMG-10で鳴らしてみました。

1.ODチャンネルゲイン2の音です。ストラトらしいクランチですね。

2.TBのVOL5の音です。ちょっとカリっとしてきました。

3.TBのVOL10の音です。歪が増えます。

4.TBのフルレンジブーストモードです。低音が出てファットなトーンです。

 

クリーンチャンネルではトーンと音量の変化が分かりやすいです。

1.TBなし

2.TBノーマル

3.TBフルレンジ

リッチー大先生と最初のストラトキャスター その3※追記

※ドレインリースタジオの「リング・ザット・ネック」フィルムについては1969年初頭という記述(DPASのDVDレヴューにて)があります。それが事実なら1月のBBCセッションの録音時と考えられますが、5月からの2度目のUSカナダツアーのプロモーション用となるので、Sロビンソンの解説と相違する上に少々時間が空きすぎる気がします。また室内とはいえTシャツや薄手のシャツ姿なので、1969年初頭の真冬よりも1968年初秋のような気がします。

しかしギターのフレーズは1969年1月収録のBBCセッションに酷似しているので、69年説も捨てがたく、結論が出ないですね。(笑)


古い資料を確認していて、謎が解けました。

まずは時系列でここまでのおさらい。

①1968年8月:「The Book Of Tariesyn」レコーディング

②※新発見
ドレインリースタジオにて、カナダTV局がWring That Neckの演奏風景を撮影(Eクラプトン放出のテレキャスターネックのストラトとマーシャル200を使用)

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③10月:ロサンゼルスフォーラム公演(ES335と黒ローズのテレキャスターを使用)

④12月:ニューヨーク公演中に68年の黒メイプルのストラトを入手
シングル「Emaretta/Bird Has Flown」レコーディング

⑤1969年1月:BBCラジオ「ヘイ・ボッパ・レ・ボップ/エマレッタ/リング・ザット・ネック/ヘイ・ジョー/イッツ・オールオーバー・ナウ」収録
Deep Purple(III)」レコーディング

 

①「ストラトの音は確認できない」というMaster氏の研究結果を鑑みて再確認したところ、確かに全部ES335という結論となりました。
この時点では、まだストラトはレコーディングに使用されていなかったと言う事です。

②10年ほど前にDVDのDeep Purpleアーカイヴコレクションで明らかになった映像です。


Deep Purple Mark 1 perform Wring That Neck in 1968

ディープパープル研究家の第一人者であるサイモン・ロビンソン氏によるブックレットの解説をよく読むと時期は明言していませんが「セカンドアルバムの発売と共に初のアメリカツアーのプロモーション用のインタビューを撮影するため、カナダのTV局がドレインリースタジオに撮影隊を送り込んだ(要約)」とあります。

つまりあのフィルムは1968年10月より以前に撮影され、あのストラトは米国でクリームの前座を務める前に既に英国内で入手していたことになります。

さらにアルバムバージョンよりも曲の完成度がやや低いと感じるため、セカンドのレコーディング前のリハーサル(もしくは渡米直前のリハーサル)を収録したものと思われます。そしてアルバムの裏ジャケット写真もその時点で撮影されたものだったと思われます。

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以下は私の推測ですが、あのストラトは撮影時のリハーサルで実験的に使っただけだったと考えます。
ネックの反りとオクターブずれのために、アルバムのレコーディング本番では使用せず、Jロードに譲ったということだったのでしょう。レコーディングの後に入手したのだとしても、同じ理由でステージでは使わなかったという事ですね。

そして、12月に新たに68年の黒メイプルのストラトを手に入れて、それ以降のレコーディングに使用したと考えます。

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カナダTVのフィルムにしても、アルバムジャケット写真にしても、ごくまれな一時期をとらえたものであり、テレキャスターネックのストラトは、公式音源には残らなかった幻のギターだったのではないでしょうか。

リッチー大先生のサウンド変遷、MK-1末期→MK-2初期

今までMK-1のサウンドを確認してきましたが、ギブソンES335→フェンダーストラトキャスター、VOX AC30→マーシャルの変遷が、MK-2の初期すなわちインロックのサウンドにつながってゆくのです。

まず、MK-1とIn Rockをつなぐ音源をいくつか確認しましょう。


Deep Purple - Hallelujah - Beat Club - 1969

録音は1969年の6月7日、MK-1の曲調を引き継ぎつつ、Iギランのシャウトや、随所にJヘンドリクスのAll Along the Watch Tower風のギターが聴ける不思議な曲です。
ギターの音はDeep Purple IIIの延長線上ですが、The PainterやAprilなどと比べて歪やトレブルの出方が抑えられてより自然なトーンになっています。IIIが恐らくコントロールがMASTER VOL、BASS、TREBLEのみのマーシャル200(通称PIG)だったのに対して、回路が異なる1968年後半に発表されたスーパーリードと同じコントロールの1967Majorを使用したからではないかと考えます。

 

こちらはその2か月後、1969年8月22日のベルギー、ビルゼンのジャズフェスティバルの演奏です。


Deep Purple - "Wring That Neck" (Live at the Bilzen Jazz Festival 1969)

見て分かる通り、前半Wring That NeckではES335+(恐らく)VOX AC30、後半Mandrake Rootの17:50頃~ではストラト(指板Rをフラットに削り直しフレット打ち換え)+68年のマーシャルメジャーの組み合わせです。この歪の軋み方は、恐らくHSのトレブルブースターではないかと思いますが、先のハレルヤなどに近い音だと思います。

 

そしていよいよIn Rockです。
激しいアーミングで分かるように、ほとんどの曲でストラトキャスターを使用しています。しかしその音は先ほどまでと違い、ストラトに聴こえません。線が細く鋭くトレブリー、鈴鳴りといったストラトの特徴は全くなく、むしろハムバッカーのES335に聴こえるかもしれませんよね。

それには理由があって、アンプが違うのではないかという推測があります。VOXのAC30でも、マーシャルの200やメジャーでもない。
では何を使っていたのでしょうか?

(続く)

BURNのギターソロの謎

しばらく前にツイッターで披露したネタですが、タイムラインの彼方に行ってしまったのでこちらにまとめておきます。

 

第3期の名曲BURNのスタジオ版のギターソロにおけるテープ速度操作の疑いについて検証をします。
つまりマスターテープの速度を下げて(それに合わせてチューニングもダウンして)録音し、通常速度で再生するというものです。演奏の速度や弦のテンションが下がるので、早弾きが容易になったり、正確に弾けるようになりますが、再生音が妙にカン高い感じになります。
その疑いを持って聴くと、トーンはもちろん、ハマリングやプリング、アームヴィブラートの速さなど、確かに不自然な感じがしますよね。


Burn - Isolated Solo (Ritchie Blackmore)

 

どこまでダウンチューニングで行けるか試したところ、オリジナル音源を1音下げた辺りが限界でした。それ以上下げると弦がベロベロでかえって弾き辛くなります。
速度にしておよそ90%=10%遅くなるので、編集ソフトで勝手に速度を落としてみました。音程が下がると不自然ですが、奏法的にはかなり自然な感じになります。

 

再生速度89%の音源を作成し、1音下げて演奏して録音してみました。弾きやすくなった割にはあちこちタイミングが狂って弾けてませんが、ラフな1回録りですし、慣れない速度だとこれはこれで弾き難かったんです。(笑)

 

そこから118%に速度を上げて(速度、音程を元に戻して)完了です。ちょっと甲高い感じのトーン、ㇷ゚リングオフやハマリングオン、チョーキングとアーミングなど・・オリジナルのような雰囲気が出てきますよ。いろいろ妙な操作をしたので、音質が悪いのはご勘弁くださいな。

 

しかしリッチー大先生はなぜこんな面倒なことをしたのでしょうか?
大先生の技量をもってすれば、オリジナルの速度でもきっちり弾けないはずはないのに。
実に謎です。

続・リッチー大先生使用ギター当てクイズ : Deep Purple(III)

先日大失敗したのですが懲りずに挑戦です。

 

ここまでのおさらい。

1968年5月:「Shades Of Deep Purple」レコーディング

8月:「The Book Of Tariesyn」レコーディング

10月:ロサンゼルスフォーラム公演(黒ローズのテレキャスターも使用)EEクラプトン放出のテレキャスネックのストラトを入手?

12月:ニューヨーク公演中に68年の黒メイプルのストラトを入手?
シングル「Emaretta/Bird Has Flown」レコーディング

1969年1月:BBCラジオ「ヘイ・ボッパ・レ・ボップ/エマレッタ/リング・ザット・ネック/ヘイ・ジョー/イッツ・オールオーバー・ナウ」収録・・・テレキャスネックのストラト
Deep Purple(III)」レコーディング

 

つまり今回のネタこそ、ストラトとES335を併用している可能性が高いというワケですね。

 

1.Chasing Shadows
様々なパーカッションが大活躍、リズムが面白い曲です。
ワウをかけたシャープなシングルコイルのトーン、これぞストラトですね。
ES335の「タリエシン」全般と比べて、明らかにトレブリーというか痩せた感じの音です。

2.Blind
チェンバロハープシコード?)の旋律が中心となるクラシカルな曲です。
ワウをかけて激しく歪んだソロはコンソール直入でしょうか?
ストラトっぽいけど判別不能でギブアップです。

3.Lalena
ハモンドオルガンがメインの抒情的なマイナーバラードです。ギターはクリーンなオブリガートという感じで、脇役に徹しています。
ES335の可能性が捨てきれないですが、エンディングのワウをかけた音の感じがストラトっぽく感じました。

4.Fault Line
ドラムはテープの逆回転ですね。ワウをかけた不気味なギターのメロディはシャープなアームによるヴィブラートから判断してストラトでしょう。

5.The Painter
一発録りのスタジオライブだそうです。
ワウはなし。微妙な歪がファズなのかトレブルブースターなのかよくわかりませんが、ストラトとマーシャル200の音のように思えます。
シャープなアーミングがストラトらしいですね。

6.Why Didn't Rosemary?
この音は2ndで散々聴きました。ストラトだと思い込んでました(笑)が、これがES335ですね。

7.Bird Has Flown
これまたいかにもという感じのストラト+ワウのサウンドですね。
アンプはマーシャルのような気がします。

8.Apri
アコースティックはさておき、前半テーマ部は「Why Didn't Rosemary?」と同じ音に聴こえますね。歪具合がコンソール直入のES335っぽいです。しかしオーケストラ後の後半テーマからは音がトレブリーに変わって、シャープなアームヴィブラートがかかるので、ストラトでしょう。そしてラストのソロでまたコンソール直のES335か?


といった感じです。パターンとしては主に

1.ストラト+ワウ+マーシャル200=ジャキジャキとトレブリー
2.ES335+ファズ+AC30=ハイミッドにピークがありハイエンドが出ていない

の2つと思われますが、コンソール直の音は正直言ってよくわかりません。

いずれにしてもこのアルバムでストラトがメインとなったわけですが、それでは、クラプトン放出のテレネックと新たに購入した黒メイプルのどちらを使ったのか?

何の証拠も無いので推測というか想像でしかありませんが、アルバムは黒メイプル、その前のBBCラジオセッションではテレネックを使ったと思います。BBCはそれと思われる映像が残っていることが推測の根拠で、試しに使ってみたもののネックの反りやオクターブが合わない不具合でアルバムでは使わなかったと考えました。あとまったく気のせいと思いますが、新品ギターのようにやや硬い音に感じたのも理由の一つです。

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まぁそんな感じでお茶を濁してMK-1のサウンドについては終了します。(苦笑)