Masahall Full Stack

マーシャルアンプとリッチー・ブラックモアとジョージ・リンチとスティーブ・ヴァイが大好きなマサハルのブログです。時々こっそりと過去記事を改訂しています。(笑)

George Lynch The Lost Anthology

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今さらながら手に入れました。2005年発売のジョージ先輩40年の歴史の裏側を収録した2枚組CDです。

ディスク1は初レコーディング、ザ・ボーイズ、エキサイター、ドッケンまで、ディスク2はリンチモブ、ストーンハウス、トリビュート関連を収録しています。
何十年も昔の劣化したカセットテープから起こした音源など、音質的には相当厳しい物もありますが、ジョージ先輩の歴史と進化を聴くことができるマニア垂涎のCDですね。

では、ディスク1の感想を書き連ねます。

 

1.Thinking About You/A


1977年、先輩が初めてレコーディングした曲です。金が有り余っているサーファーのロニー・ブルースという男がやっていた「A」という名のバンドの演奏ですが、どこかで聞いたことあるんだよなー。私が知らないだけでとても有名な曲のカバーのような気がします。先輩はピグノーズ(アンプ)を持参してゲスト参加、まとまりに欠けますが、ドッケン時代と変わりないようなレベルの高いソロをキメています。
ちなみにヴォーカルは、後にエキサイターに参加するグレッグ・サンフォードのガールフレンドだったそうな。

2.Nite Boyz/The Boyz


ザ・ボーイズは、プロを目指してLAに出て先輩が1975年に組んだ初めてのプロ志向のバンドです。当時はバンドのテーマソング的なものが流行っていたらいのですが、アップテンポでノリの良い曲で1978年にロングビーチイーストマンスタジオで録音されました。プログレッシブな感じが初期ラウドネスにも通じるような、構成がやや複雑な曲で、絶対に売れないセンです。(笑)

3.Sleepless Nights/XCITER


その後、ザ・ボーイズのヴォーカルがグレッグ・サンフォードに変わり、バンド名もエキサイターに変わりました。ハリウッドのあるスタジオを深夜0時~7時の間に無料で使わせてもらい仕上げたデモ曲です。(以下2曲も同じ)

レッドゼッペリンのハウセズ・オブ・ザ・ホリー~プレゼンス辺りに強く影響を受けたミックが叩き出す、ボンゾ的なリズムに乗ったゼップ丸出しな展開がカッコ良い曲ですね。
きっとジョージ先輩は、後に同じようなことをやって大ヒットしたスティル・オブ・ザ・ナイト/ホワイトスネイクを「マジかよ?!」と妬んだことでしょう。(笑)
同名のドッケンの曲とは関連はないです。

4.It's Alive/XCITER


先のナイトボーイズと似た曲調ですが、複雑な構成は影を潜めて着実に進化しています。これはヒットしてもおかしくないと思いました。
サビのコーラスが爽やかで、いかにもジョージ先輩らしいリズムをひねったリフがカッコ良いです。

5.Paris is Burning


ドッケン版で有名な曲の初期バージョンです。
勢いはありますが、まだ粗削りな感じです。

6.Heartless Heart


これもドッケンの同名曲とは関係ないです。
ボーカルがちょっとドンっぽくて、初期ドッケンに通じるものがありますが、ちょっと物足りないくらいシンプルな曲ですね。

先輩がインタヴューで良く語っている「KISSのレコード契約オファーのチャンスを共演したヴァンヘイレンに奪われてしまった夜」の演奏ですね。詳しく説明すると、ボーイズに興味を持ったKISSのジーン・シモンズとポール・スタンレイが、レコード契約をするかどうかの確認のために、当日のギグを見に来ることになったそうです。KISSメドレーをセットに取り入れるなど、最高の演奏を決めて契約間違いなしと思ったところ、後に出演したヴァンヘイレンに喰われてしまい、ジーンらの興味はすっかりそっちに移ってしまった・・・という話です。(ジョージ本人談)
BURRN誌のインタビューにて、当時スパイクというバンドに在籍していてそのギグに出演したフォアン・クルーシェも概ね同じことを語っているので、事実でしょう。ただフォアンによれば「ジョージもエディも甲乙つけがたい強烈な演奏で、リードギターを堪能した夜だった」そうで演奏においてエキサイターがヴァンヘイレンに負けたということではなかったようです。

ライナーノーツによると1978年の11月ハリウッドのスターウッドクラブの録音となっていますが、ヴァンヘイレンは1978年1月にはレコードデビューを果たしているので、1977年の間違いでしょう。

7.Jailhouse Rock


先と同じ夜の演奏です。
曲は古臭いですが、ギターソロが冴えています。

8.House On Fire


これも1978年のライブでギャザリーズというクラブでの演奏。聴けばすぐ分かりますが、ドッケンのイン・ザ・ミドルの原曲ですね。

9.I've Been Waiting


1979年ハードロックが衰退していたこの時期、KISSに見放されてチャンスを失ったバンドは迷走し、プリテンダースを目指していたそうです。
ジョージ先輩の黒歴史。(笑)
ただ、先輩のポップなセンスを垣間見ることができます。


通して聴いてみると、ジョージ先輩は1977年の23歳当時、すでに相当のテクニックは身に着けていたことが分かります。13歳からみっちり10年弾いていれば当然かもしれません。

ザ・ボーイズの頃は、やりたいことを全部ぶち込んだような複雑な曲でアマチュア感が抜けていませんが、エキサイターになると洗練されたプロのバンドに成長しています。KISSが目を付けるのも無理はありません。

1978年といえば、ライバルのランディはクワイエットライオットで、エディもヴァンヘイレンでレコードデビューを飾っていましたが、当時のジョージ先輩は彼らよりも優れたギタリストだったと思います。完全にひいき目ですが(笑)

ただ、ヴォーカルやバンド全体で言うと、やや魅力が薄かったのでしょう。
その後も、ランディやジェイクにオジーの仕事を取られたり、後輩のウォーレンに先を越されたり、ツキのないジョージ先輩ですが、そんなアンラッキーなところもファンとしてはたまらなく愛おしいのです。(笑)

さて、今日はこのくらいにしておきますか。


Xciter w/George Lynch "The Heat" "I'll Be There"

 

(続かない・・・たぶん)