Masahall Full Stack

マーシャルアンプとリッチー・ブラックモアとジョージ・リンチとスティーブ・ヴァイが大好きなマサハルのブログです。時々こっそりと過去記事を改訂しています。(笑)

CHARVEL CUSTOM SHOP WARREN DEMARTINI SIGNATURE SAN DIMAS

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80年代ジェフベックのFLASHを髣髴とさせるインドネシア製ジャクソンのソロイストモデルSL4Xを買おうと思っていたのですが、なぜか有り金の全てつぎ込んでシャーベルカスタムショップのウォーレンモデルを購入してしまいました。

 

スペックはこちら→http://www.charvel.jp/artistseries/2869171000.html

神田商会の正規輸入品だと新品定価は¥385,000もする高額なギターですが、デジマートでその半額以下という魅力的な値段の中古を発見。普通ならその金額でも高いので見送るところですが、ウォーレン本人が84年頃に使用していたオリジナルにかなり近いペイントの再現具合に血迷いました。
お手ごろ価格のPRO MODをはじめ、今まで見た個体は赤いペイントの垂らし方が一方向だったり、少なかったり多かったり、今ひとつ雰囲気出てないんですよね。

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本人の2号機も赤が多すぎていまいち。やっぱりBack For MoreやRound And Roundのビデオのアレが良いわけです。


RATT - Back For More (Official Music Video)

 

フェンダーカスタムショップと共通のハードケースは生地の継ぎ目のパイピングが青でおしゃれです。中の刺繍ロゴも素敵。

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保証書を見ると2014年のモデルでした。初期ロットですね。

この手のギターはフェルナンデスや国産シャーベルで慣れていましたが、さすがUSAカスタム。見た目は同じようでもかなり違います。


まずはギターの命であるネック。
f:id:masahall:20191002222437j:imageクォーターソーン(柾目)のメイプルワンピース

ワイド(ナット幅44mm弱)ですが、少し厚みがあって指板サイドのエッジを軽く絞り込んだCシェイプ。

f:id:masahall:20191002204225j:image80年代当時よりロゴが小さい

ナット幅42mmの標準的なフェンダーストラトキャスターを2ミリほど幅広くしたような感じです。80-90年代の日本製シャーベルやカミカゼやJEMのようなワイドで薄いネックは、手首を前に出す握り込まない速弾きスタイルに向いていますが、シャーベルは握り込むスタイルにしっくりきます。

木部加工は日本製のギターのようにシュっとした形状ではなく、手作業らしいサンディング処理がルーズな感じ。良く言えば角が取れて柔らかい感じです。

つや消しのウレタンクリアによるマットな仕上げは手触りが良いです。本物は塗装なしですが、湿気を吸い込んでネックがねじれたり手垢で黒く汚れてしまうので良い方法ですね。

フレットはジャンボタイプですが、エッジの処理はESPやアイバニーズなど日本製ギターほど丁寧に丸く仕上げられてはいません。

指板のアールは、ナット部で12インチ→エンドで16インチに徐々に緩くなるコンパウンドラジアス。初めての体験ですが、ローコードが押さえやすく、弦高を低めに設定できるのでとても弾きやすいです。(ヴィンテージスタイルのきついアールだとハイポジションのチョーキングで弦がフレットに当たらないようにセットすると弦高が高くなり、フラットに近い指板だと弦高は下げられるがローポジションのセーハがつらくなる)

握った感触がとても良い上に弾きやすいというすばらしいネックです。その上木材がとても良いのか、フレットの取り付け方が良いのか、音が立ち上がるレスポンスがものすごく良い。まるで自分の技量が2割り増しくらい上がったような感覚でピッキングやタッピングでリキまなくてもきれいに音が出ます。

 

[ここ重要です↓]

USAのギターの良さは75年のフェンダーストラトキャスターや70年代のレスポールカスタムやカールサンドバルのギターで感じたのですが、ネックがしっかりしていて鳴りが良いという点です。工作精度や細部の仕上がりとしては日本製の方が良いのですが、あくまでも工業製品としての評価であって、ギターとして弾いて音を出してみると、やっぱりUSAが良い。使用している木材が違う(産地とか選別とかシーズニング)としか思えないですね。

エレクトリックギターの本場USAには何か特別なマジックがある気がします。

 


続いては、このギターの一番の魅力であるペイントについて。

f:id:masahall:20191002222554j:image左が本物

どうです?赤の垂らし方がちょっと足りないですが、けっこう似ているでしょう?

実はオリジナルと同じ人のペイントなんです。


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「DRL. GM. 14」意味は
DRL:ダンローレンス(Dan Lawrence)の会社であるDRL Graphics
GM:グレンマテーゼル(Grenn Matezjel)
14:2014年

ダンとグレンはともに80年代のシャーベル全盛期に在籍していたグラフィックアーティストで、ウォーレンのギターのペイントを担当していたのがグレンです。

f:id:masahall:20191003223837j:imageヤングギター1988年5月号より

ダンはシャーベルを退社した後BCリッチに在籍し、やがて独立してDRLグラフィックスを起業し、グレンを迎え入れました。

ちなみにBCリッチでのダンの仕事がこれです。

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さらにシャーベルのこのギターもグレンの仕事でした。

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ウォーレンのギターのデザインはDRLグラフィックスに権利があるようで、正式に販売できるのはDRLにてペイントをしたものだけとなります。
要するにこのシャーベルのウォーレンシグニチャーはあらゆる意味で「本物」ということです。

以上、気になってネット検索で調べ上げた情報でした。

 

ちなみにウォレーンのBLOOD SKULL、SWORDS、BOMBERのデザインはシャーベルのほかに、Performance、Wayne Guitars(シャーベルの創始者の工房)、GMW Guitarsなどでも扱っていますが、すべてDRLのペイントです。ただしライセンスの問題でフェンダーヘッドを使用しているのはシャーベルだけになります。
特に私が手に入れた個体はシャーベルが販売を開始した2014年製で初期の製品のためペイントの出来が良いのかもしれません。


[ここからが今回のハイライト]

近くでよく見るとドクロのペイントの書き込みが実に細かいことがわかります。エアブラシではなくペンで細かな線を書き込んでいます。

先の「DRL GM 14」の文字は最初はわからなくて、ドクロの詳細をじっくり見ていて気づいたのですが、さらにネックのひさし部分に隠れるように「RATT」という文字が描かれているのを発見しました。

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グレンの遊び心に感心します。
うれしくなってフェイスブックで見つけたDRLのページに「RATTの隠し文字を見つけたよ」と投稿したところ、ダンから驚くべきコメントをもらいました。

「Wow..that's crazy. I've only done that one with the word "RATT" written on the skull. We talked about doing that but just ended up doing the initials. Congratulations on this one..

そいつはすごい! 私はドクロにRATTという文字を入れたギターをその1本だけ作ったんだ。私たちはそれをやろうと言っていたけど、結局最初の1本で止めてしまった。この1本におめでとう」

 

どうです?!
これ特別な最初の1本なんですよ。もう最高じゃないですか。

無理して買ってよかった。というかたまたま資金がある時に偶然見つけたギターで、普通なら値段の高さに諦めるところだったんですけど、もはや運命だったんですかね。
家宝決定です。


さて後はもう余談みたいなものです。

シャーラーM6ペグ、フロイドローズオリジナル、セイモアダンカンのウォーレンシグニチャーのRTMピックアップと、使用パーツも超一流。バックパネルはアルミ板にヘアライン加工と黒いアルマイト処理を施したもの。

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ストラップピンはブラス地そのままのオールドサンディマススタイルでしたが、ドクロのストラップを付けるためにシャーラーのセキュリティロックに交換しました。 

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RTMピックアップは、SH-4/JBのトーンを少しハイ寄りにして、パワーがありながらも切れ味が鋭くなった感じです。

 

このギターを手にすると35年前の1984年にトリップしてしまいます。

RATT'N'ROLL !!