ウォーレン・デマルティーニに挑戦
塗装を乾かしているので、ギターを弾きます。
久しぶりの出番。どちらもダンカンのパーリーゲイツです。左のカミカゼもどき「美穂」は、安いアウトレットパーツを集めて自分で塗装、組み立てを行った、ミディアムスケールのちょっと変わったギターです。
どうということのないセン単板のディンキーサイズの小さく軽いボディで、ネックジョイントの隙間にアイスキャンディーのバーを詰めた、いい加減な構造の割に、音が良いのです。これはメイプルワンピースネックが良いのでしょうね。そしてパーリーゲイツとのマッチング。
クリアーで音の立ち上がりが良い、カミカゼやFSTフランケンタイガーとは違う、ちょっと粘るようなトーンが気に入っています。
材料費は3万円くらいしかかかっていませんが、けっこう気に入っています。
BOSS SD-1改(OD-1回路)で、20年前のマーシャルのMG10というミニアンプの音をアイフォン6で録音して、パソコンでエコーをかけました。
世の中には、未だピッキング至上主義に凝り固まった方もいるようですが、このフレーズのように、ハマリングオン、ㇷ゚リングオフ、スライドで滑らかに音をつなぐのもまた技ですよ。故アラン・ホールズワース氏辺りが元なんでしょうかね。
いずれにしても、しっかりはっきり音を出すのが大事だと思います。・・・と偉そうに言う資格は私にはありません。日頃の鍛錬不足のため最後の方はヘロヘロになっちゃってダメダメですね。でもウォーレンの雰囲気は出せたから良しとしよう。
ちょっとでも良くできたと思ったら、心にもない謙遜はせず、自分を褒めて伸ばす作戦。(笑)
クリアー塗装3層目
過去を思い出している間にクリアーを吹き重ねていました。
しかし、クリアーを吹く前はいい感じだったのに、色が鮮やかになり過ぎてしまいました。
こちらはクリアー1層目。
左:クリアーなし、右:クリアー2層目
色の境目の段差をペーパーで均してクリアー3層目。
段差は確実に目立たなくなってきましたね。
しかし、徐々に色が濃く鮮やかになって、こんなに違ってきました・・・困ったな。
仮にボディに合わせてみました。
ヘッドはボディから離れているので、あまり気にならないかも。
ボディの色合いは、いわゆる色焼け・・紫外線でベース色が退色し、トップコートのクリアーが褐色に変色しているのが原因でしょう。あと数回クリアー→研磨を繰り返して段差を無くしてから、最後にスモーククリアーかやや黄ばんだ木工用ニスで、色合いを調整しようと思います。
過去の作品
私が塗装に関わるようになったのは、40余年前、小学生時代に遡ります。
幼稚園の頃からプラモデル製作を始めて、小学生になった頃にはすでに筆塗で塗装を始めていました。当時はラッカー系のレベルカラーとエナメル系のパクトラタミヤが主流でしたね。
小学4年の頃かな?お年玉でタミヤの1/12スケールのポルシェ934ターボを買ったんですよ。イエーガーマイスターのオレンジ色の箱画が強烈なアレですね。
でも、箱を開けると、ボディパーツは白・・・
筆では大面積を均一に塗ることができないので、組立説明書に従って缶スプレーの塗料を購入し、垂れたり、気泡が発生したり、ムラになったり、失敗を重ねてなんとか完成させました。
缶スプレーの魔術師の誕生です。(笑)
1979年に最初に手に入れたエレキギターは、ヤマハのSR400というバイクみたいな形式名のナチュラルカラーの68-69ストラトのコピーモデルでした。ストック状態で使っていたのはほんのわずかの時間で、すぐにスキャロップ加工をしてリッチー大先生のコピーに励みました。
その後、よりコピー精度の高いサンバースト・ローズのトーカイSS40を購入したため、サブギターになったSR400は改造の実験台となりました。ラージヘッドを切り飛ばしてスモールヘッドに、ジャックプレートと交換するブースターを仕込んだり、エディ・ヴァンヘイレンに倣ってワンハム化したり、原形をとどめない姿に。
1980年のある日、分厚いポリエステル塗装を剥がしたら鳴りが良くなるのでは?と思い付きます。塗料屋さんで劇薬の剥離剤を購入し、手肌をひりひりさせながら、ポリ塗装を溶かして除去しました。でもそのままじゃカッコ悪い・・・ということでギターの塗装を始めたのです。
カーショップで補修用のスプレーを購入して、プラモデルで鍛えた腕と経験で何の躊躇もなく作業を進めて、真っ赤なボディでメイプルネック、ワンハムのメタルギターが完成しました。
そして1984年、RATTの登場に衝撃を受けて、本格的にカスタムペイントギターを作り始めます。
ベースとなったのは、フェルナンデス製で新星堂ロックインオリジナルのシャーベルコピーモデル。メイプルワンピースネックとフェルナンデスのFRT-5を買って交換し、まずは写真右の爆弾ガイコツをペイントしました。
しかしウォーレンがメインで使っていたのは、左のロンドン剣だったので、すぐに塗り替えました。どちらも割とシンプルなグラフィックだったので、グラデーションだけちょっと苦労しましたが、ほぼ完璧に仕上げました。
このギターは、最後にはペイントを剥がして、ジョージ先輩の落書きギターになりました。
御茶ノ水の石橋やESPなどでジャンクのボディネックを安く買って、こんなギターも作りました。
ネックがコンコルドヘッドのリバースだったし、ソロイストのボディシェイプが若干異なりましたが、いい感じに仕上げました。
これもすぐに飽きてしまい、たまたま見つけたリバースバナナのネックを買って、カミカゼのコピーに変身します。
そっくりコピーだと面白くないので、赤を水色にアレンジして、兵士の代わりに坂本龍馬のシールを貼りました。しかしすぐにネックが反ってしまい、いろいろな変遷を経て、最終的には以前に紹介した「美穂」になり、現在に至ります。
グレコのFV600をベースにこんなのも作りました。
ボディのトップに板を貼り、トレモロやコントロールのザグリ追加、ヘッドも接ぎ木整形など、めちゃめちゃ大改造です。特に白いドットの処理に大変な苦労をしました。本物とはスケールやネックジョイント位置が違うので今一つ違和感が残りましたが、インパクトは絶大でしたね。
その工法を生かしてこんなのも作りました。
普通のストラトのトップに板を貼って、トレモロキャビティを埋めて 、缶スプレーのピンクと紫で微妙なグラデーションを付けてやりました。
「美穂」以外、大学の卒業と同時に後輩などに譲ってしまい写真すら残っていないのが非常に残念です。(以上はすべて拾い物写真です)
その後は、大げさなのはやっていませんが、近年では、RLGのラッカーリフィニッシュ
ジェイクEリーの水色シャーベルとか、塗装したなぁ。
今回カミカゼで、久々に本格的な塗装をやってみて、なんかもっとやりたくなってしまいました。(笑)
次は何作ろう??
カミカゼのヘッド色塗り完了
昨日は黒まで吹いて、あと一週間ぐらいかかるかなと思いましたが、今日も天気が良いので塗料の乾きも早いことでしょう。一気に進めることにします。
まずは、朝一にカシスピンク(バーガンディ)を吹き、マスキングを剥がし終わったところ。
ソフト99のエアータッチは実に画期的な商品です。スプレー缶は色が少ないし、欲しい色があったとしても大量に余ってしまうので、タッチペンを使わざるを得ません。メタリック色はタッチペンの筆塗りだとどうしてもムラになってしまうのですが、エアータッチのスプレーでは、このように均一に吹き付けることができるのです。
もちろんこの前には、気が遠くなるようなマスキング作業があります。昨日はいちいち細く切ったテープで曲線を出しましたが、もうやってられません。(笑)
多少のクオリティ低下は妥協して、気力が萎えないよう、アートナイフでカットする方法に変えました。
それにしても最近老眼がひどいので、細かな作業がとても辛い。
ナイフの刃を買いに出かけたホムセンで、メガネの上からかけられる拡大鏡=老眼鏡を見つけてマジで欲しくなりましたが、1万円超の価格に断念しました。
仕方ないので眼鏡を外し、超至近距離で手元を確認しつつ、テープを貼りつけてラインをカットしてゆきます。その姿は、版画家の故・棟方志功さんみたいです。(笑)
お昼にはブルー。
下塗りのグレーが、アクアブルーに似ているので、もう完成したような気分です。
一色吹くごとに、エアースプレーのアタッチメントをシンナーで清掃するのが、また面倒くさいのですが、気分が乗ってきたのでどんどん作業を進めます。
最後の色を吹き終わりました。
このマスキングを剥がせば、いよいよ色塗り完了です。
ペリペリ。
ペロペロ。
完成!
色の境にマスキングテープによる段差がありますが、これは最終仕上げで解消します。
クリアーを吹くと、ちょっと変わってくると思いますが、市販の塗料でやったにしては、色合いは完璧でしょう。ホムセンの売り場で色の選択に粘った甲斐がありました。
とてもやり遂げた気分です。
マスキング作業で、1年分くらいの集中力を使い果たしましたから。
作業終了後、しみじみと眺めていて気付いたのですが、このギターをオーダーした人、別に車の色で配色を考えたわけじゃないですよね。
バーガンディミストメタリック(以下M)って60年代フェンダーのカスタムカラーだよな・・・
ブルーはレイクプラシッドブルーMに似ている・・・
ライトブルーもありそうだ・・・
と調べてみたところ、やはりありました。ブルーアイスMが近似色なのです。
右上から、
Blue Ice Metallic
Lake Placid Bule Metallic
Burgundy Mist Metallic
そういうことだったのかと、一人納得しました。
まぁカスタムカラー自体、60年代のアメ車の色に由来するので、自動車用のペイントをギターに転用するのは昔からあったんですよね。
30年も前から愛用しているソフト99や、武蔵ホルツの自動車補修商品が無くならないよう、祈るばかりです。
最初は趣味悪い!と思った色でしたが、由来に気づくと、良いではないか!!とあっさり考えが変わりました。
さて、これを一週間ほどかけて十分に乾かした後、軽くクリアーを吹いてから、色の段差をサンドペーパーで滑らかに削り、ESPのロゴを偽造(笑)して、最終仕上げのクリアーを吹いて、コンパウンドでピカピカに磨いてやれば完成です。
「(有機溶剤)臭い!」と家族には不評でしたが、充実した週末でした。
カミカゼのヘッドを塗装中です
サーフェイサーが乾いたのでサンディングしたところ、ヘッドの先端と1弦のペグ穴付近に、ガスの泡による巣が出てきました。見えるかな?もう一度サーフェイサーを吹いて2日乾かし、またサンディング。
最初は#400の空研ぎペーパーでできるだけサーフェイサーを薄く削り、その後#600と#800の水研ぎペーパーで研磨傷を消すように仕上げます。
表面が平滑になったら、いよいよ色塗りに入りますが、マスキングテープで塗り分け部分を覆い隠さなくてはなりません。
そのためにまずは下書き。雑誌の写真を参考に鉛筆でスケッチします。均一なマスキングシートが無いのか、KAMIKAZE2以降のESP製品は微妙な個体差があるようです。今回はあえてジョージ先輩のオリジナルに準じることにしました。
かなりラフです。(笑)
続いては、マスキングテープでグラフィックのラインを貼ってゆきます。直線部分は楽なのですが、曲線が難しい。
一般的には、一番面積の広い部分(今回なら水色メタリックの部分)をベースとして一様に吹いてから、マスキングして他の色を吹くのですが、それだとベースとの境で段差が発生してしまうので、今回は一つ手間が増えますが全部塗り分けにすることにしました。
テープを貼ってからアートナイフで切り出すと楽なのですが、それでは刃先が下地に切れ込んで傷がついてしまいます。テープを剥がす際に下地ごと剥がれたり、傷に塗装の有機溶剤が染み込んで下地を溶かしてしまい、最終的に表面に溝が発生したりすることがあるので、今回はそれを避けるために、はさみで細く切り出したマスキングテープを曲げながら貼り付けるという、手の込んだ手法を用いました。細かい鋭利な部分は、あらかじめその形状にカットしたテープを貼ります。
ラインテープという細いマスキングテープが市販されているのですが、買いに行くのが面倒だったので。(笑)
マスキングの忘れが無いかしっかりチェックして、表面の埃を吹き飛ばしてから、塗装に入ります。まず黒を吹きました。
気温が高く湿度が低いという絶好の塗装日和のため、すぐに乾きます。
剥がすタイミングが遅すぎると、テープの粘着剤が塗装に癒着してしまうことがあるので、表面がべたつかないくらいに乾いたらテープを剥がします。
一か所、テープと一緒に塗装がちょと剥げてしまいましたが、概ね良好です。
この後、塗装の乾燥を待ってから、同様にマスキングを繰り返してあと3色塗装します。完成まであと一週間くらいかかるかな。
ESPのマッチングヘッドは3万円のオプションですが、この手間を考えると納得ですね。
しかし、缶スプレーのアクリルラッカーでさえ、丸二日あればほぼ乾き、長くても1か月あれば完全に乾くというのに、1年経ってもまだ乾ききらない「ニトロセルロースラッカー」って、あり得ない。あぁ、気分の悪いことを思い出してしまいました・・・