Masahall Full Stack

マーシャルアンプとリッチー・ブラックモアとジョージ・リンチとスティーブ・ヴァイが大好きなマサハルのブログです。時々こっそりと過去記事を改訂しています。(笑)

HORNBY SKEWES TREBLE BOOSTER(構想編)

一時はリッチー大先生研究終了と宣言しましたが、実際には肝心の第二期ディープパープルにはちっとも触れてなかったというか、奥が深すぎて避けておりました。
フェンダーストラトキャスターを手に入れて本物の音が分かったので、いよいよ足を踏み入れます。

第二期といえば、Hornby Skewesのトレブルブースターが重要です。
先日ちょっとブログで触れましたが、グライコの代用品では面白くないので、どうにも欲しくなってきました。

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当時のオリジナル品は入手困難、BSMのコピー品は高すぎて買う気がしない。(といっても不当に高いと言うつもりは毛頭ありませんよ。マニア向けの少量生産品を流通させるとなれば、利益を出すためにはやはりあれくらいの値段になるのは仕方ありません)

近年英国のPegeon FXというブランドから、お手頃な価格で見た目もほぼ完ぺきなレプリカが出ていましたが、時すでにお寿司、完売となってしまいやはり手に入りません。

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部品点数が少ないシンプルな回路なので、もう自作だ!と短絡的に考えたのですが、重要なパーツであるシリコントランジスタ・・オリジナルに使用された2N4061が、ネット通販ではどこにも見当たりません。

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増えすぎたギターやパーツを処分するために整理していたのに、余ったパーツでギターを1本組んでしまったり、せっかくギターを1本売ったのに、機材の売上金で新たにギターを2本買ってしまうという本末転倒の私です。

「日本になければ世界中探せばいいじゃない」と、ついに英国でデッドストックのTEXAS INSTRUMENTS 2N4061を見つけました。しかし販売ロット数は最低100個!でもここで怯まないのがおバカさん。130€など大した金額ではないと即決してオーダーを入れてしまいました。多少の英語力とペイパルとクレジットカードがあれば、海外ネット通販も怖くありません。
試算したところ、トランジスタ100個と、ムラードマスタードCAP、ABのカーボンコンポ抵抗などオールドのデッドストックを選んで10台分のパーツ代合わせても、BSMのHS1台の標準小売価格と同じくらい。BSMを買ったつもりで10台分のパーツを買って、何台かでも売れたら儲けもんです。

ということで本末大転倒な「作って売ろう!RBトレブルブースター」作戦開始です。
中身のパーツの目途はついたのですが、問題はケース。普通のペダルのようなダイキャストだとやはり雰囲気出ないので、アルミ板の折り曲げ構成のケースでオリジナルそっくりと行きたいところですが、ドンピシャの物が無いんですよね。そもそもアルミ板金ケース自体が少ないのです。一番近いLEAD社のP-204も、ちょっと板厚が薄い感じ。

まずは自分用に余ったペダルの空き箱で組んでみて、上手く音が出るようであればじっくり探してみますか。

ちなみに1959SLPのオールド改造が滞っていますが、マスタードコンデンサだけでなく、カーボンコンポジット抵抗で組みたくなってしまいました。PCBで多数のパーツを交換するのは非常に面倒なので、基板ごとハンドワイヤードで作り直した方が良いかもしれない、と悩みに入ってしまったため中断してます。(笑)

リッチー大先生使用ギター当てクイズ : The Book of Taliesyn(訂正あり)

※研究家の方が時系列を追って資料を調べたところ、アルバムが録音された時点ではまだストラトは持っていなかったと考えられるとのことです。ちなみにあの裏ジャケ写真は、遅れて発売された1969年7月の英国盤から使用されており、レコード発売後しばらくしてからのBBCのラジオセッション時(1969年1月)に撮影された可能性が高いそうです。

以下は、あくまでも私には「ストラトに聴こえた」という思い違いの妄想記事ということでご理解ください。


リッチー大先生は初期にはギブソンES335TDC、テレキャスターネック付きの66-68年ストラト(その後はラージヘッドストラト一筋で68年のメイプル指板、71年のメイプルワンピース、72年~)を使用していました。
デビューアルバムでは、まだストラトを入手していないことが明らかですので問題ありません。また「335を使ったのはIn Rockが最後」と自ら語っているので、セカンドアルバムの「The Book of Taliesyn」から「In Rock」までES335とストラトキャスターを併用していた可能性があることになります。

ライブでは映像が残されていて、音も分かりやすいためどちらを使用していたか判別できるのですが、スタジオ音源ではかなり困難・・・ということで今回のお題に取り上げました。

最初にストラトを使い始めたと思われる「詩人タリエシンの世界」(原題The Book of Taliesyn)では、どのようにES335と使い分けていたのでしょうか?というクイズです。
興味の湧いたマニアな人は、以下を読む前にまずアルバムを聴いて考えてみてください。

 

 

 

335タイプのギターと75年のストラトキャスターを手に入れてしばらく弾いていたら、少し耳が肥えてきたような気がしてきたので意気込んでクイズとしましたが、前振りも面倒なのでさっさと答えを書きます。(・・・実は見当違いで申し訳ございません。個々の文章は面倒なので訂正しませんが、まぁ鼻で笑ってやってください)

 

 

 

最初に総括すると、曲やパートによってトーンや歪具合違うため判別が難しいのですが、注意して聴くとほとんどストラトで、335は全く使っていない可能性がかなり高いです。(←思い違いです)そして歪みもファズだけではないようです。全員で演奏したベーシックトラックは基本的にVOXのAC30のようですが、オーバーダビングはミキサー直入(後述)も多用しているようですね。私の耳では判別できなかったですが、一部でマーシャルの200W(PIG)を使っている可能性もあります。(それはその後のBBCラジオセッションだったようです)
そういうことなので、特にストラトと表記することはしませんが、曲の解説も交えながら、以下に私の感想を記します。


Listen, learn, read on
しょっぱなから、いかにもストラトキャスターをファズで歪ませたキレの良いリフ。ソロはフロントでしょうが、微妙な歪み加減なので、アンプを鳴らさずミキシングボード直入の可能性が高いと思われます。

※ミキシングボード直入
文字通りミキサーの「マイク入力」に直接ギターをつないで録音することです。元々はオーバーダビングをする際に、レコーディングブースからだとテープ操作の注文をつけたり、録音した演奏を聴き返すのが面倒なので、ミキサーの前で操作しながら弾いたのが始まりと思われますが、これによって、マイクアンプ入力の段階でインピーダンスの相違による激しい人為的な歪みが発生します。第三期から使っているアイワのテープレコーダーと同じ効果ですね。エリック・クラプトンもクリームの「Disraeli Gears」でやっていたと思います。(Strange Blueは特に臭い)

なお誤解しがちですが、いわゆる「ライン録り」とは若干違います。ライン録りはダイレクトボックスでインピーダンスを合わせたり、エフェクトやプリアンプの出力をラインレベルでミキサーに入力するので、独特の音ではありますが歪はほとんど発生しません。


Wring That Neck
ライブでは必ずES335を使っていたのでてっきりそうだと思っていましたが、良く聴くとやはりストラトの音ですね。わりとゆったりしたソロを弾いていますが、ライブではヒートアップして凄まじい早弾きを披露しているので、335を使用することにしたのかもしれません。

 


Wring that neck - Deep Purple

このレコーディング風景の発掘動画でストラト使用が明らかになったのですが、これはリッチー・ブラックマニアにとって超貴重な発掘なのですよ!(ニック・シンパーの背後に大先生が鳴らしていたと思われるコントロールパネルの幅が狭いマーシャル200「PIG」が写っているのも貴重です)

 

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レコード発売当時、裏ジャケットにトランジションロゴでラウンド貼りローズ指板のネックが写っていたので、64-68年のテレキャスターのものと分かってはいましたが、やっと全貌を見ることができました。

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エリック・クラプトンが、66-68年のストラトテレキャスターカスタムのネックを入れ替えて2本のギターを組んだのですが、自分はラージヘッドストラトネックを付けたテレキャスターを使い(後にメイプルワンピースに交換)、テレキャスネック付きのストラトをローディに譲り、それをリッチー大先生が購入したというものです。

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大先生曰く「ネックが反っていて、オクターブが合わなかったが、シャープなサウンドだった。ジョン・ロードが持って行ってブッ壊してしまった」そうです。オクターブが合わなかったのは、テレキャスターのネックをそのままストラトのボディに組むとエンド部の角が干渉してヘッド方向にズレてしまったからと考えられます。


この曲の音に話を戻すと、所々特定の音階でそれより低い周波数が強調されるのは、当時のAC30のフィルターキャパシタの共振によるゴーストとかアンダートーンと呼ばれる現象ではないでしょうか。終わり間近の2回のフリーのソロは、ちょっとハムバッカーぽい気もするので、もしかするとそこだけ335かもしれないです。

しかし何度も聴いているうちに、もしかしたらこのトーンはマーシャル200かもしれないという気もしてきました。実に謎です。

 

Kuntucky Woman
これまたファズでギンギンに歪んだストラトの音ですが、ソロは割と自然な歪ですね。音を外しているかのような変態的ながらハイレベルなフレースが素晴らしい。

 

Exposition / We Can Work It Out
ジョン・ロード主体の壮大な前奏部分の最後に入っている「グゥ~ン」という6弦開放のアームダウンは紛れもなくストラトですね。オブリガードとかソロはフロントでさらにトーンを絞ったような音ですが、これもミキサー直っぽい。

 

Shield
これはいかにもストラトのリヤという感じですね。途中でフロントに切り替えていますが歪はナチュラルです。テーマのシメとソロではアームを活用。

 

Anthem
そろそろ飽きてきた。(笑)ちょっと切れても良いですか?

アコースティックギターヤマハらしいですが、分かるわけねぇだろっ!
こういうオーケストラ的な曲じゃノってこないのか、ソロのフレーズはつまらないなぁ・・・


River Deep, Mountain High

最初の前奏部とソロはこれもミキサー直っぽいですね。

 

ということで、全部ストラト・・・新しいおもちゃを手に入れたリッチー大先生がはしゃいでいる姿を思い浮かべると、出番がなかったギブソンES335が拗ねているような気もしますね。


ははは、何を言ってるんだか。大変失礼いたしました。今後はこのようなことが無いように慎重に調査を行いたいと思う所存であります。

'74 Marshall Super Lead US Version (6550TUBES)

昨日から気になって眠れなかったので(嘘)、今日は午後の半日を74年のマーシャルスタックの調整に費やしていました。

それは、リッチー大先生のメジャー(KT88管、カスケード&マスターVOL改造)に近いはずなんです。少なくともEL34を使用した普通の1959よりは有望です。

昨日も書きましたので重複になりますが、

「パワー管が6550で、カスケード接続、マスターVOLの2203改造が施された1974年式のアメリカ仕様のスーパーリード1959。スピーカーはG12M-25で1974年のクリームバックAキャビと1978年?ブラックバックのBキャビの縦フルスタックです。」

 

過去にはシングルコイルと相性抜群で、良いクランチトーンを出していたこのアンプ、何が悪くて、キンキン、ピーピーだったのか?

昨日そのままの状態から、ブリッジのプレートを外したストラトをストレートにプラグインしてスタート。
できるだけマイルドになるよう、ゲインを上げたり、マスターVOLを絞らずアンプをドライブさせて、アッテネーターで最終出力を絞ったのですが、その状態では発振に近い感じになってしまいます。
でもアンプのゲインを下げるとカリカリに細い音。
オーバードライブやブースターのペダルをかませても、変わりません。

 

無理にドライブさせるからじゃないの?
そう思ってアッテネーターを外しCH1にインプットしてマスターVOLで音量を絞ってみました。

これでとりあえず発振的ノイズは消えました。歪も落ちましたがクランチトーンは悪くない。

いろいろ調整した結果、ペダルなし、カスケード直結で、フルゲイン、マスターVOL:2、トレブル:3、それ以外フルアップで落ち着きました。

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75 Stratocaster and 74 Marshall

マスターVOLでパワーアンプのドライブを抑えると、プリアンプで作られたトーンがクリアーに増幅されます。カスケード接続でプリアンプを思いきり歪ませて、それを忠実に増幅するとちょっとトランジスタっぽくクールなトーンになりますが、昨日の76年のマーシャル+GE-7ブーストより私はこっちの方が好きです。

ちょっとトレブルブースターっぽい感じもあり、BBCインコンサートのリッチー大先生ぽいような気がしないでもない。

70sストラトをマーシャル直結でこの音が出るなら満足ですね。

 

マーシャルは本来パワーアンプ(フェイズインバーター部)やスピーカーも無理をかけて全体で歪ませて使うのがベターですが、いくら田舎の1軒屋とはいえ、家族もいるのでそれは無理。家で鳴らすには、やはりマスターVOLが便利です。

 

ところでブリッジの「リッチープレート」を外しましたが、アンプの出音はほとんど変わった気がしません。付いていると気分は出るのですが、アームが使い物にならないので、もう付けません。すまんな、大先生。(笑)

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さて次はいよいよホーンバイスキューズのトレブルブースターかな。
Pegion FXのレプリカはもう入手できなさそうですが、クソ高いBSMを買うくらいなら野望は大きく、本物を探すとしますか。
その間、自作して凌ぐ・・と。

リッチー大先生の1972年ストラトキャスターのブリッジに挟んであったプレートの謎~実奏編

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太いアーム、ブリッジスペーサーを装備して、気分はすっかり1973年5月27日、ニューヨーク、ホフストラ大学です。

 


Deep Purple Live In New York - 1973 - Part 1


土曜の夕方、やっとマーシャルスタックでサウンドチェックを行いました。

まずはパワー管が6550で、カスケード接続、マスターVOLの2203改造が施された1974年式のアメリカ仕様のスーパーリード1959。
スピーカーはG12M-25で1974年のクリームバックAキャビと1978年?ブラックバックのBキャビの縦フルスタックです。

が、これはひどかった。
ノーマルCHでは歪が足りずキンキンしたか細い音で、カスケードにするとそのまま耳に痛い音域を増長してピーピーとハウリングが発生して弾けたものじゃありません。プレゼンスを絞り、トレブルを絞り、最後はミドルを絞ってもとうとう良い感じになりませんでした。
ボリュームを絞ったクリーンもガリガリな感じで今一つ。

 

早々に断念して76年のスーパーリードにチェンジです。
CH1はやはり同じ傾向ですが、74年よりはかなりまともです。CH2も試してみましたが、ゲインが足りずモコモコとして気に入らない。なのでCH1をベースに試行錯誤します。

フルレンジのブースターをかますと、歪みは増えてファットなトーンになるものの低音の切れが悪い。

BOSS OD-1(SD-1改)は嫌なトレブルが抑えられて低音がすっきりするのもの、やはりハウリングがピーピーなのに高域カットが著しいので好みになりません。

MAXON OD-808(Ibanez TS808同等品)は、OD-1より自然な感じになりましたが、まだ好みになりません。

最後にBOSS GE-7でミッドブーストしたところ、ようやくOKとなりました。


‘75 Fender Stratocaster & ‘74 Msrshall & BOSS GE-7

たまにはエコーも何もないストレートな音も悪くないでしょう。BOSS GE-7のセッティングはもろミッドブーストになっています。本来ならもっとミッド領域を下げるべきなのですが、ここまでトレブルをカットしないとキンキン、ピーピーが収まらないんですよね。ゲインを上げると軋むような粘るような歪になりますが、これは一般的なトレブルブースターの音の傾向に近いと思います。

経験したことが無い人は、トレブルブースターは高音をブーストしてキンキンな音になると誤解しがちですが、実際には(Hornby Skewesの場合)1.6kHz辺りのハイミッド領域以下をカットするフィルター回路で、ギターで美味しい領域をブーストしてくれます。私はストラトとマーシャルの相性の悪さを抑えるため高域もカットしましたが、グラフィックイコライザーを持っている人は、レベルは最大、2kHz以下は直線的に下げるセッティングを試してみてください。トレブルブースターの疑似体験をすることができます。

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ちなみに冒頭のyoutubeについてちょっと解説しておきます。
聴いた方はお分かりと思いますが、相当にトレブリーなサウンドです。これは1972年のストラトキャスター+鉄ブロックのトレモロ、トレブルブースター、アンプのローカット改造などの要因によるものと思われますが、1968年式のブラックを弾いた「1972コペンハーゲン(マシンヘッドライブ)」と比べると明らかに歪が増えて尖った音に聴こえます。これはギターの違いの他にアンプのセッティングが違うと思われます。

コペンハーゲンは会場が大きいのでマーシャルの音量を大きくすることが可能だったと思われます。つまりマスターVOLは絞りが少ないので、パワーアンプ部分の歪が大きくなって信号が飽和することによりトレブルが減衰します。サスティーン量も大きくなりトレブルブースターのゲインは小さくて済むため、より円やかな音になります。至高のストラト&マーシャルサウンドと言われる伝説のライブインジャパンの音源も同じことが言えます。

それに対してホフストラ大学は会場があまり大きくないため、マスターVOLを下げ気味なのでしょう。するとアンプのゲインが足りないので、プリアンプを歪ませるためにトレブルブースターでゲインを上げるのですが、パワーアンプはクリーンな状態なのでトレブルブースターのキャラクターがはっきりと出ます。パリスシアターという狭い会場で収録したBBCインコンサートの音源も同じことですね。

ちなみにスタジオ盤の音源が耳に心地よい円やかな音に聴こえるのは、やはりミックス時のイコライジングで原音を変えてしまっているのだろうな。

 

トーンが落ち着いたところでやっと樹脂スペーサーの効果を確かめます。

今までのキンキンしたトーンからして分かるように、このパーツによるトーン改善効果はほとんど感じることはありませんでした。(苦笑)

その上、ブリッジをボディの固定する6本のねじの頭のプラス溝がプレートに食い込んでいるので、それが抵抗となってしまい、トレモロの動作が重くチューニングが不安定になってしまいました。

これはダメだ・・・リッチー大先生がねじに干渉しないアコギのブリッジ材に変更したのはそれが理由だったのでしょうか。


すぐ元に戻しましたが、生音では鳴りというかサスティーンが回復して、張りのある音になりました。雰囲気が失われてダウンな気分ですが、やはりこっちの方がギターとしての正しい姿でしょう。

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ちなみにこのトレモロですが、ベースは90年代フェンダージャパン鉄ブロックとプレートで(アーム折れジャンクを安く入手して穴を8ミリに拡大して女神転生)、サドルは80年代のグレコか何かのダイキャストです。フェンダーオリジナルサドルとのトーンの違いは分かりませんでした。ものによっては見た目は同じでもダイキャストではなくブラスをメッキしたものもありますので要注意です。

 

次回、プレートなしのトーンを再確認してみます。

70年代前半のフェンダーストラトキャスターとコピー(リイッシュー)品の違い

※今回は異常に長いです。果たして途中で脱落せず最後まで読めますかな?(笑)


1979年に購入したヤマハのSR400に始まり、トーカイSS40、フェルナンデス・リバイバルRST-50、フェルナンデス・バーニーFST-60などコピーギターを使い続けて40年弱。50の齢をこえて、ようやく本物フェンダーの75年のストラトキャスターを手にしました。(格安のガタガタ半ジャンク品でしたが)

本物志向の方はコピーモデルなど目もくれないし、コピーオンリーの人は本物を知ろうとしない。コピーに精通した上で本物を分解、理解した私が感じた違いなどについてまとめます。(偉そうで申し訳ありませんoyz)

まず最初に、どのコピーモデルが一番本物に近かったか?という話をすると、形状の正確さについてはやはり過去から絶賛しているリバイバルのRST-50が一番なのですが、正確さは今一つながら丸みを帯びたエッジ、浅いコンターなどの雰囲気では、70年代のバーニーのFSTが一番近かったです。

FST-60の記事

http://masahall-super-lead.hateblo.jp/entry/2016/12/25/134250

FSTはローズ指板がフラットなこと、ネック取り付けボルトの穴位置、ヘッドのライン、ボディのラインがちょっと違うことが残念ですが、ザグリの形状や手でエッジを落とした丸みのあるボディなど、実に雰囲気が良い。

3番手は80年代のトーカイのSSです。ただしボディが50sモデルと共通でコンターが深いのが今一つ。

総じて70年代のヤマハグレコにアリア(マツモク)、グヤトーン、フレッシャーなど初期のコピーモデルは形状が不正確で、ビザールギターと言っても良いくらい出来が悪いので興味はありません。ただ古いだけで価値がないのに「ジャパンヴィンテージ」とオークションに出している人を見ると、アホか?と思います。ましてや「ジャパビン」と略したり「貼りメイプル」「激鳴り」などと書いてあるのもはたいていゴミカスですね。

それに対して、80年代スーパーコピーモデルとしてしのぎを削っていたグレコのスーパーリアルSE500(グレコについては所有したことが無く記憶が薄いので事実誤認があるかもしれません)やトーカイSS40、フェルナンデスRST-50は、とても4~5万円の入門クラスとは思えないくらいどれも良くできていました。
ギターとしてコピー精度や工作精度は格段に向上したのですが、NCルーターで加工されたボディやネックの形状が型で作ったかのように均一で正確すぎるため、残念ながらオリジナルのようなアメリカンな雰囲気(悪く言えば大雑把でいい加減な雰囲気)は感じられません。オリジナルは手作業でエッジやコンターのサンディング加工をしてたので、もっとラフに不均一で丸みを帯びているんです。

そして一番大きな違いはボディのコンターの形状(広さ深さ)です。

 

オリジナルのストラトキャスターのボディ形状は大きく分けて3種類あります。

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左:1959年頃までのネックポケットが浅く(ボディ上側へネックの飛び出し量が大きい)、コンターが大きく削られた初期。

中、右:76年頃までのネックポケットが深くコンターは少し浅くなった中期(69年頃にテンプレートが変わりピックアップキャビティが少し角ばった形状に変わる)

77年以降、コンターがかなり浅くなりNCルーターによる自動加工に変わったため形状のばらつきが少なくなった後期。(写真なし)
中期までのテンプレート加工によるボディは、コンターやエッジのアールに関しては人が手作業でサンディングをしていたため、丸みや深さなど形状にバラツキが見られます。

詳しくはストラト本やネットで調べていただきたいですが、こちらのブログで分かりやすい写真を載せてかなり詳しく解説されています。
https://ameblo.jp/rockcont/entry-11207233138.html


コピーモデルは当然NCルーターで自動加工されますが、グレコ、トーカイ、フェンダージャパンは生産管理を容易にするためか、スモールヘッド期モデルと共通のコンターが大きい50s風のボディなので70sの雰囲気が無いのです。
それは現行フェンダーのUSAやメキシコのリイッシュー70sストラトも同じ傾向ですね。

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RSTは'59、'64モデルと区別して'76はコンターがやや浅くオリジナルフェンダーの中期に似ているボディを製作した点はさすがなのですが、人手によるサンディングの不均一な丸みが無いのが非常に残念です。

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フェルナンデスはトーカイが製造していた「石ロゴ」時代を除いてオリジナルに非常に近い雰囲気です。

 

ネック=ヘッドの形状はみなそれぞれ若干違うのですが、やはりRSTは寸法が正確で各部の曲線の形状が一番良く似ています。

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FSTはとても良い木材を使用していますが残念ながら、指板がフラット貼りでロゴ下の曲線がわずかに違う。

 

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90年代のフェンダージャパンは、明らかに長さが短くヘッド形状がおかしいです。ヘッド先端の円は少し小さく、2弦と3弦の間の下側のSTRATOCASERの文字の「ATOC」辺りクローシャン形状の凹んだ部分のアールとFenderロゴ部のふくらみが大きく、全体に下膨れ的な格好悪さと感じます。
さらにナットからペグ穴までの長さ(オリジナルはナット端-6弦ポスト中心の長さが40ミリ)が短く、ペグ穴の間隔も狭いのでディティールアップでシャーラーFキーを取り付けようとすると裏でひし形のカバーが斜めになってしまいます。

そしてネック取り付けねじの穴位置も違うので、オリジナルやUSAモデルとの互換性がありません。
近年になってペグ穴の間隔は改善されましたがヘッドの形はそのままなので、それはきっと故意=フェンダー本社の指示なのでしょう。オリジナルと同じ形にはするな、と。
普通の人は「フェンダーのロゴ」があれば良しとするのでしょうが、マニアな私はロゴより正確な形を好むので、フェンダージャパンは好きになれないのです。

なお、現行フェンダーのリイッシューClassic70sは曲線部の形状は悪くないのですが、やはりナットからペグ穴の距離が数ミリ短いようです。ローズウッド指板のモデルがフラット貼りになっていることから分かりますが、スモールヘッドのネックと母材を共通化しているからでしょう。
そう考えると少し前のフェンダージャパンがわざわざラウンド貼りのST71を製造していたのは称賛に値します。

パーツとしては、まずペグ。80年代のスーパーコピーは、なかなか工夫されていました。
ドンズバなものはありませんが、トーカイはFマーク(トーカイだからTか?)こそ無いもののバックのカバー形状が秀逸、フェルナンデスの「Fキー」はバックカバーはかなり違いましたがポストやノブは良い感じでした。

ブリッジは、80年代のグレコ、トーカイに使われていたダイキャストワンピースブロックのトレモロブリッジが良く似ています。
FSTはナローピッチだし、RSTはブロック前側(取り付けねじ穴の開いている部分)がやや短く不正確な形状なので、フェルナンデスはイマイチでしたね。
現代はフェンダーUSAもジャパンも部品共通化ですべてセパレートブロックにプレスサドルになってしまったのが残念です。


私は今までに、ネックだけ79年と74年のオリジナルフェンダーを手に入れていたのでその違いは分かっていましたが、ボディやアセンブリは初めてなので、新たな発見が多数ありました。

改めてネックについて語ると、オリジナルフェンダーは、S9シリアルの81年頃までは硬く良いメイプル材が使われており、弦を張っても反り具合が変わらずロッドを締めこむ必要はほとんどありませんでした。74年のネックは、Rが緩くなるよう指板の頂点を削ったりスキャロップ加工を施しましたが、びくともしませんでした。
それに対して国産コピーは木材のグレードが低いのか乾燥が不十分なのか、柔らかいメイプルが使用されていて、反りをトラスロッドで矯正するものが多かったです。(80年代初期のフェルナンデスRSTには固く良質な個体もありました。)


ボディは先ほど書いたコンターやエッジの丸み以外に、ラッカーのトップコート塗装の質感、塗装時にボディを浮かせるためにピンを打った穴・・それを埋めた痕が本物の風格を醸し出しています。


そして今回大きな違いを発見したのが、ピックガードアセンブリなどの樹脂パーツでした。

フェンダーオリジナルのピックガードとトレモロのスプリングキャビティのカバー(バックパネル)は、裏側が艶消しになっている、やや薄く柔らかい塩化ビニールの素材で出来ていました。あまり力を入れなくてもへにゃっと曲がりますし、ねじを強く締めこむと容易に歪みます。

国産や現代のリイッシューはそれより少し厚めでアクリル樹脂のように硬い物を使用しています。手で力を入れても少ししかたわみません。恐らく60sのセルロイド製を模したものと共通化しているせいだと思います。
ストラトキャスターの場合、ピックガードの硬さの違いはそのまま音に現れます。それほど大きな違いではないとはいえ、オリジナルフェンダー70sがトレブリーながらも耳障りな感じにならないのは、柔らかいピックガードの影響があるのかもしれません。

ノブは国産や現行品よりやや柔らかいナイロン樹脂で、角が丸く文字の大きさが小さいせいか、やや小ぶりに感じました。


さて、肝心の音=ピックアップはどうかというと、まぁ好き好きではあるんですが、フェルナンデスRSTのL5000Vintage(後のVS-3)ピックアップ搭載のギターが一番雰囲気が近いと思いました。しかしミッドハイにちょっと気になる硬さを感じるピークがあり、本物と比べてしまうとやや不満を感じます。それはアウトプットに使用された銅の単芯線やピックガードの硬さによるものかもしれませんね。


安い予算で本物に近いギターを作りたい場合、80年代の初期RST-50が素材としては一番優秀です。そのままでも十分ですが、一度ポリウレタンの塗装を剥がして、エッジを少しラフに削って丸みを出すとマニアが喜びます。再度ポリウレタンで下塗りを行い、ボディのトップコートとヘッド表面をラッカーで仕上げれば完璧ですね。木部は削らずラッカーフィニッシュだけでも良いでしょう。
塗装はやりたくないなら、初期RST-50の硬いネックを使ってFSTのボディを組むと良さそうです。(その際、すべてのねじ穴の位置をやり直す必要がありますので、地味に面倒な作業になりますが)

ピックアップはフェンダーのオリジナルがベストですが、コストパフォーマンスを考えると近年のフェンダーUSAのヴィンテージタイプ(US VINTAGE、57/62など)を載せれば良いでしょう。ピックガードはできるだけ柔らかいものを探してみてください。50sを模した薄い1プライの物が物理的には良い感じですが、見た目はねぇ・・・
中国製の安物が意外と良いかもしれませんよ。

 

以上、マサハルが発見したオリジナルとコピーやリイッシューの違いでした。

お読みいただきまして大変ありがとうございました。お疲れさま♪