Masahall Full Stack

マーシャルアンプとリッチー・ブラックモアとジョージ・リンチとスティーブ・ヴァイが大好きなマサハルのブログです。時々こっそりと過去記事を改訂しています。(笑)

リッチー大先生の1972年ストラトキャスターのブリッジに挟んであったプレートの謎~実奏編

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太いアーム、ブリッジスペーサーを装備して、気分はすっかり1973年5月27日、ニューヨーク、ホフストラ大学です。

 


Deep Purple Live In New York - 1973 - Part 1


土曜の夕方、やっとマーシャルスタックでサウンドチェックを行いました。

まずはパワー管が6550で、カスケード接続、マスターVOLの2203改造が施された1974年式のアメリカ仕様のスーパーリード1959。
スピーカーはG12M-25で1974年のクリームバックAキャビと1978年?ブラックバックのBキャビの縦フルスタックです。

が、これはひどかった。
ノーマルCHでは歪が足りずキンキンしたか細い音で、カスケードにするとそのまま耳に痛い音域を増長してピーピーとハウリングが発生して弾けたものじゃありません。プレゼンスを絞り、トレブルを絞り、最後はミドルを絞ってもとうとう良い感じになりませんでした。
ボリュームを絞ったクリーンもガリガリな感じで今一つ。

 

早々に断念して76年のスーパーリードにチェンジです。
CH1はやはり同じ傾向ですが、74年よりはかなりまともです。CH2も試してみましたが、ゲインが足りずモコモコとして気に入らない。なのでCH1をベースに試行錯誤します。

フルレンジのブースターをかますと、歪みは増えてファットなトーンになるものの低音の切れが悪い。

BOSS OD-1(SD-1改)は嫌なトレブルが抑えられて低音がすっきりするのもの、やはりハウリングがピーピーなのに高域カットが著しいので好みになりません。

MAXON OD-808(Ibanez TS808同等品)は、OD-1より自然な感じになりましたが、まだ好みになりません。

最後にBOSS GE-7でミッドブーストしたところ、ようやくOKとなりました。


‘75 Fender Stratocaster & ‘74 Msrshall & BOSS GE-7

たまにはエコーも何もないストレートな音も悪くないでしょう。BOSS GE-7のセッティングはもろミッドブーストになっています。本来ならもっとミッド領域を下げるべきなのですが、ここまでトレブルをカットしないとキンキン、ピーピーが収まらないんですよね。ゲインを上げると軋むような粘るような歪になりますが、これは一般的なトレブルブースターの音の傾向に近いと思います。

経験したことが無い人は、トレブルブースターは高音をブーストしてキンキンな音になると誤解しがちですが、実際には(Hornby Skewesの場合)1.6kHz辺りのハイミッド領域以下をカットするフィルター回路で、ギターで美味しい領域をブーストしてくれます。私はストラトとマーシャルの相性の悪さを抑えるため高域もカットしましたが、グラフィックイコライザーを持っている人は、レベルは最大、2kHz以下は直線的に下げるセッティングを試してみてください。トレブルブースターの疑似体験をすることができます。

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ちなみに冒頭のyoutubeについてちょっと解説しておきます。
聴いた方はお分かりと思いますが、相当にトレブリーなサウンドです。これは1972年のストラトキャスター+鉄ブロックのトレモロ、トレブルブースター、アンプのローカット改造などの要因によるものと思われますが、1968年式のブラックを弾いた「1972コペンハーゲン(マシンヘッドライブ)」と比べると明らかに歪が増えて尖った音に聴こえます。これはギターの違いの他にアンプのセッティングが違うと思われます。

コペンハーゲンは会場が大きいのでマーシャルの音量を大きくすることが可能だったと思われます。つまりマスターVOLは絞りが少ないので、パワーアンプ部分の歪が大きくなって信号が飽和することによりトレブルが減衰します。サスティーン量も大きくなりトレブルブースターのゲインは小さくて済むため、より円やかな音になります。至高のストラト&マーシャルサウンドと言われる伝説のライブインジャパンの音源も同じことが言えます。

それに対してホフストラ大学は会場があまり大きくないため、マスターVOLを下げ気味なのでしょう。するとアンプのゲインが足りないので、プリアンプを歪ませるためにトレブルブースターでゲインを上げるのですが、パワーアンプはクリーンな状態なのでトレブルブースターのキャラクターがはっきりと出ます。パリスシアターという狭い会場で収録したBBCインコンサートの音源も同じことですね。

ちなみにスタジオ盤の音源が耳に心地よい円やかな音に聴こえるのは、やはりミックス時のイコライジングで原音を変えてしまっているのだろうな。

 

トーンが落ち着いたところでやっと樹脂スペーサーの効果を確かめます。

今までのキンキンしたトーンからして分かるように、このパーツによるトーン改善効果はほとんど感じることはありませんでした。(苦笑)

その上、ブリッジをボディの固定する6本のねじの頭のプラス溝がプレートに食い込んでいるので、それが抵抗となってしまい、トレモロの動作が重くチューニングが不安定になってしまいました。

これはダメだ・・・リッチー大先生がねじに干渉しないアコギのブリッジ材に変更したのはそれが理由だったのでしょうか。


すぐ元に戻しましたが、生音では鳴りというかサスティーンが回復して、張りのある音になりました。雰囲気が失われてダウンな気分ですが、やはりこっちの方がギターとしての正しい姿でしょう。

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ちなみにこのトレモロですが、ベースは90年代フェンダージャパン鉄ブロックとプレートで(アーム折れジャンクを安く入手して穴を8ミリに拡大して女神転生)、サドルは80年代のグレコか何かのダイキャストです。フェンダーオリジナルサドルとのトーンの違いは分かりませんでした。ものによっては見た目は同じでもダイキャストではなくブラスをメッキしたものもありますので要注意です。

 

次回、プレートなしのトーンを再確認してみます。

70年代前半のフェンダーストラトキャスターとコピー(リイッシュー)品の違い

※今回は異常に長いです。果たして途中で脱落せず最後まで読めますかな?(笑)


1979年に購入したヤマハのSR400に始まり、トーカイSS40、フェルナンデス・リバイバルRST-50、フェルナンデス・バーニーFST-60などコピーギターを使い続けて40年弱。50の齢をこえて、ようやく本物フェンダーの75年のストラトキャスターを手にしました。(格安のガタガタ半ジャンク品でしたが)

本物志向の方はコピーモデルなど目もくれないし、コピーオンリーの人は本物を知ろうとしない。コピーに精通した上で本物を分解、理解した私が感じた違いなどについてまとめます。(偉そうで申し訳ありませんoyz)

まず最初に、どのコピーモデルが一番本物に近かったか?という話をすると、形状の正確さについてはやはり過去から絶賛しているリバイバルのRST-50が一番なのですが、正確さは今一つながら丸みを帯びたエッジ、浅いコンターなどの雰囲気では、70年代のバーニーのFSTが一番近かったです。

FST-60の記事

http://masahall-super-lead.hateblo.jp/entry/2016/12/25/134250

FSTはローズ指板がフラットなこと、ネック取り付けボルトの穴位置、ヘッドのライン、ボディのラインがちょっと違うことが残念ですが、ザグリの形状や手でエッジを落とした丸みのあるボディなど、実に雰囲気が良い。

3番手は80年代のトーカイのSSです。ただしボディが50sモデルと共通でコンターが深いのが今一つ。

総じて70年代のヤマハグレコにアリア(マツモク)、グヤトーン、フレッシャーなど初期のコピーモデルは形状が不正確で、ビザールギターと言っても良いくらい出来が悪いので興味はありません。ただ古いだけで価値がないのに「ジャパンヴィンテージ」とオークションに出している人を見ると、アホか?と思います。ましてや「ジャパビン」と略したり「貼りメイプル」「激鳴り」などと書いてあるのもはたいていゴミカスですね。

それに対して、80年代スーパーコピーモデルとしてしのぎを削っていたグレコのスーパーリアルSE500(グレコについては所有したことが無く記憶が薄いので事実誤認があるかもしれません)やトーカイSS40、フェルナンデスRST-50は、とても4~5万円の入門クラスとは思えないくらいどれも良くできていました。
ギターとしてコピー精度や工作精度は格段に向上したのですが、NCルーターで加工されたボディやネックの形状が型で作ったかのように均一で正確すぎるため、残念ながらオリジナルのようなアメリカンな雰囲気(悪く言えば大雑把でいい加減な雰囲気)は感じられません。オリジナルは手作業でエッジやコンターのサンディング加工をしてたので、もっとラフに不均一で丸みを帯びているんです。

そして一番大きな違いはボディのコンターの形状(広さ深さ)です。

 

オリジナルのストラトキャスターのボディ形状は大きく分けて3種類あります。

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左:1959年頃までのネックポケットが浅く(ボディ上側へネックの飛び出し量が大きい)、コンターが大きく削られた初期。

中、右:76年頃までのネックポケットが深くコンターは少し浅くなった中期(69年頃にテンプレートが変わりピックアップキャビティが少し角ばった形状に変わる)

77年以降、コンターがかなり浅くなりNCルーターによる自動加工に変わったため形状のばらつきが少なくなった後期。(写真なし)
中期までのテンプレート加工によるボディは、コンターやエッジのアールに関しては人が手作業でサンディングをしていたため、丸みや深さなど形状にバラツキが見られます。

詳しくはストラト本やネットで調べていただきたいですが、こちらのブログで分かりやすい写真を載せてかなり詳しく解説されています。
https://ameblo.jp/rockcont/entry-11207233138.html


コピーモデルは当然NCルーターで自動加工されますが、グレコ、トーカイ、フェンダージャパンは生産管理を容易にするためか、スモールヘッド期モデルと共通のコンターが大きい50s風のボディなので70sの雰囲気が無いのです。
それは現行フェンダーのUSAやメキシコのリイッシュー70sストラトも同じ傾向ですね。

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RSTは'59、'64モデルと区別して'76はコンターがやや浅くオリジナルフェンダーの中期に似ているボディを製作した点はさすがなのですが、人手によるサンディングの不均一な丸みが無いのが非常に残念です。

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フェルナンデスはトーカイが製造していた「石ロゴ」時代を除いてオリジナルに非常に近い雰囲気です。

 

ネック=ヘッドの形状はみなそれぞれ若干違うのですが、やはりRSTは寸法が正確で各部の曲線の形状が一番良く似ています。

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FSTはとても良い木材を使用していますが残念ながら、指板がフラット貼りでロゴ下の曲線がわずかに違う。

 

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90年代のフェンダージャパンは、明らかに長さが短くヘッド形状がおかしいです。ヘッド先端の円は少し小さく、2弦と3弦の間の下側のSTRATOCASERの文字の「ATOC」辺りクローシャン形状の凹んだ部分のアールとFenderロゴ部のふくらみが大きく、全体に下膨れ的な格好悪さと感じます。
さらにナットからペグ穴までの長さ(オリジナルはナット端-6弦ポスト中心の長さが40ミリ)が短く、ペグ穴の間隔も狭いのでディティールアップでシャーラーFキーを取り付けようとすると裏でひし形のカバーが斜めになってしまいます。

そしてネック取り付けねじの穴位置も違うので、オリジナルやUSAモデルとの互換性がありません。
近年になってペグ穴の間隔は改善されましたがヘッドの形はそのままなので、それはきっと故意=フェンダー本社の指示なのでしょう。オリジナルと同じ形にはするな、と。
普通の人は「フェンダーのロゴ」があれば良しとするのでしょうが、マニアな私はロゴより正確な形を好むので、フェンダージャパンは好きになれないのです。

なお、現行フェンダーのリイッシューClassic70sは曲線部の形状は悪くないのですが、やはりナットからペグ穴の距離が数ミリ短いようです。ローズウッド指板のモデルがフラット貼りになっていることから分かりますが、スモールヘッドのネックと母材を共通化しているからでしょう。
そう考えると少し前のフェンダージャパンがわざわざラウンド貼りのST71を製造していたのは称賛に値します。

パーツとしては、まずペグ。80年代のスーパーコピーは、なかなか工夫されていました。
ドンズバなものはありませんが、トーカイはFマーク(トーカイだからTか?)こそ無いもののバックのカバー形状が秀逸、フェルナンデスの「Fキー」はバックカバーはかなり違いましたがポストやノブは良い感じでした。

ブリッジは、80年代のグレコ、トーカイに使われていたダイキャストワンピースブロックのトレモロブリッジが良く似ています。
FSTはナローピッチだし、RSTはブロック前側(取り付けねじ穴の開いている部分)がやや短く不正確な形状なので、フェルナンデスはイマイチでしたね。
現代はフェンダーUSAもジャパンも部品共通化ですべてセパレートブロックにプレスサドルになってしまったのが残念です。


私は今までに、ネックだけ79年と74年のオリジナルフェンダーを手に入れていたのでその違いは分かっていましたが、ボディやアセンブリは初めてなので、新たな発見が多数ありました。

改めてネックについて語ると、オリジナルフェンダーは、S9シリアルの81年頃までは硬く良いメイプル材が使われており、弦を張っても反り具合が変わらずロッドを締めこむ必要はほとんどありませんでした。74年のネックは、Rが緩くなるよう指板の頂点を削ったりスキャロップ加工を施しましたが、びくともしませんでした。
それに対して国産コピーは木材のグレードが低いのか乾燥が不十分なのか、柔らかいメイプルが使用されていて、反りをトラスロッドで矯正するものが多かったです。(80年代初期のフェルナンデスRSTには固く良質な個体もありました。)


ボディは先ほど書いたコンターやエッジの丸み以外に、ラッカーのトップコート塗装の質感、塗装時にボディを浮かせるためにピンを打った穴・・それを埋めた痕が本物の風格を醸し出しています。


そして今回大きな違いを発見したのが、ピックガードアセンブリなどの樹脂パーツでした。

フェンダーオリジナルのピックガードとトレモロのスプリングキャビティのカバー(バックパネル)は、裏側が艶消しになっている、やや薄く柔らかい塩化ビニールの素材で出来ていました。あまり力を入れなくてもへにゃっと曲がりますし、ねじを強く締めこむと容易に歪みます。

国産や現代のリイッシューはそれより少し厚めでアクリル樹脂のように硬い物を使用しています。手で力を入れても少ししかたわみません。恐らく60sのセルロイド製を模したものと共通化しているせいだと思います。
ストラトキャスターの場合、ピックガードの硬さの違いはそのまま音に現れます。それほど大きな違いではないとはいえ、オリジナルフェンダー70sがトレブリーながらも耳障りな感じにならないのは、柔らかいピックガードの影響があるのかもしれません。

ノブは国産や現行品よりやや柔らかいナイロン樹脂で、角が丸く文字の大きさが小さいせいか、やや小ぶりに感じました。


さて、肝心の音=ピックアップはどうかというと、まぁ好き好きではあるんですが、フェルナンデスRSTのL5000Vintage(後のVS-3)ピックアップ搭載のギターが一番雰囲気が近いと思いました。しかしミッドハイにちょっと気になる硬さを感じるピークがあり、本物と比べてしまうとやや不満を感じます。それはアウトプットに使用された銅の単芯線やピックガードの硬さによるものかもしれませんね。


安い予算で本物に近いギターを作りたい場合、80年代の初期RST-50が素材としては一番優秀です。そのままでも十分ですが、一度ポリウレタンの塗装を剥がして、エッジを少しラフに削って丸みを出すとマニアが喜びます。再度ポリウレタンで下塗りを行い、ボディのトップコートとヘッド表面をラッカーで仕上げれば完璧ですね。木部は削らずラッカーフィニッシュだけでも良いでしょう。
塗装はやりたくないなら、初期RST-50の硬いネックを使ってFSTのボディを組むと良さそうです。(その際、すべてのねじ穴の位置をやり直す必要がありますので、地味に面倒な作業になりますが)

ピックアップはフェンダーのオリジナルがベストですが、コストパフォーマンスを考えると近年のフェンダーUSAのヴィンテージタイプ(US VINTAGE、57/62など)を載せれば良いでしょう。ピックガードはできるだけ柔らかいものを探してみてください。50sを模した薄い1プライの物が物理的には良い感じですが、見た目はねぇ・・・
中国製の安物が意外と良いかもしれませんよ。

 

以上、マサハルが発見したオリジナルとコピーやリイッシューの違いでした。

お読みいただきまして大変ありがとうございました。お疲れさま♪

リッチー大先生の1972年ストラトキャスターのブリッジに挟んであったプレートの謎~製作編

http://masahall-super-lead.hateblo.jp/entry/2018/05/16/224258

こちらで考察したプレートについて早速製作してみました。

オリジナルのバックプレートを切ってしまうのはもったいないので、フェルナンデスRSTのパーツを使用します。
オリジナルより若干硬い素材ですが、穴位置は全く同じなんですね。ちなみにオリジナルは平板を切り出して製造していますが、フェルナンデスは型に樹脂を射出して成型しています。

さて、RBギターズ〔改訂版〕の表紙、P015、P035、P037の写真をよく見て形状を考えます。

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こういう向きで切り出すとドンピシャ!ですね。ちなみにこの場合、プレートの裏面が上を向くようになります。

Pカッターでサクサクと筋を入れて折断したら、あとはブリッジに挟むだけです。

しかし、6本のブリッジの固定ねじの頭が干渉するので、取り付けは意外と難しいです。サドルを上げた状態(固定ねじを深くしてサドル下面からねじが長く出た状態)だと、ねじ足の先端とブリッジの間に十分な隙間ができず、プレートが入らないことが分かりました。プレートを入れるにはねじを上げなくてはなりません。(固定ねじの飛び出しが短い状態)

故に、この謎プレートについて「サドルを上げるためのスペーサー」という説は却下されました。いよいよ私の仮説「トーン調整プレート」説の可能性が高まります。

改めてリヤピックアップの高さが最大になっていることを確認して、取り付けた状態がこれです!

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どうです?穴の位置がドンズバでしょう!(鼻高々)

 

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生音でシャラシャラ弾いてみると、ちょっと死んだ弦のような感じになったような、大して変わらないような…(笑)
小マーシャルMG-10で鳴らしてみましたが、出音の違いは全然分かりませんでした。

週末マーシャルスタックにてそこそこ大きな音で確かめたいと思います。

 

Who Do We Think We Are(俺たちを誰だと思ってやがる?):追記

一時はリッチー大先生の研究は終了と宣言したのですが、ES335タイプのギターを手に入れて第一期ディープパープルの研究から再開しました。

 

私がロックを聴き始めた1970年代・・レンタルレコード業もなく、インターネットの普及によるyoutube視聴など予想もできなかった頃、アルバムを聴くには、それを持っている知人に借りることができなければ、レコード店で買うしか手段がありませんでした。
身銭を切るわけですから、外した場合の後悔は大きく選定は真剣でしたよ。自分の聴きたい曲が多く入っているもの、もしくは世間(音楽誌)の評価参考に買うのは当然です。

ディープパープルの場合は、まずハイウェイスター、スモークオンザウォーター、バーンなどをどこかで聴いてカッコ良いと思ったところから始まると思います。
するとまず第一に聴きたいアルバムの第一群は、
・マシンヘッド
・バーン
インロック
でしょう。
私のようにライブアルバムのメイドインジャパン、メイドインヨーロッパというのもありですね。

 

一通り聞いて次の第二群としては、
ファイアボール
ストームブリンガー
となると思います。

 

最後になるのが、めちゃめちゃ評価が悪い第二期のラストアルバムである、フードゥウイシンクウィアーですね。
有名な曲はウーマンフロムトーキョーだけで、メンバー不仲の中で製作され、ライブではメリーロング一曲しか演奏されなかったアルバムなので、私はまったく期待せず、買おうと思ったことがありませんでした。


DEEP PURPLE-MARY LONG-HAMBURG 1973-LIVE-RARE

それから20年の時が流れて、中古CDショップが増えヤフオクで中古品の入手も容易になった2000年代になって、ようやく中古でCDを入手して聴いたのです。

ザックリ感想を言えば、一般的なロックのアルバムとしては思ったほど悪くはなかったです。が、リッチー大先生のやる気が感じられず、ギラン・グローバーが主導のせいか、曲は地味にポップで、ギターリフもソロもなんとも冴えない。

でもね、なんだかギターの音が良いんですよ。ファットで円やかながら、こもらず抜ける感じ。(・・良くわからん表現で申し訳ありませんoyz)
このアルバムは、1972年の7月にローマの別荘施設でウーマンフロム~を録音したのち、メイドインジャパンの日本公演を挟んで10月にドイツのフランクフルト郊外のスタジオでレコーディングが行われました。音の良さはまず第一に、ホテルの廊下という残響が異常な場所で録音したマシンヘッドから、きちんとした音響環境の場所で録音したことが大きいのだと思います。さらに多くのライブを通してマーシャル・メジャーの改造とホーンバイスキューズのトレブルブースターのセッティングが上手く決まったではないかと思われます。(VOXを使う必要がなくなった)

 

では、ギターは何を使ったのだろう?
68年の黒いストラトはその直前にステージで破壊してしまったのでそれは無いでしょう。

可能性があるのは当時所持していた、マシンヘッドで使用していた71年のサンバースト、直前のアメリカツアーで入手して日本にも持ってきた72年のブラック、サンバーストの3本になると考えられます。(これが73年のギタープレイヤー誌のインタビューで語っていた「ブラックとブラウンの3本を持っている。ステージでは主にブラウンの2本のどちらかを使う。ブラックは歪みを得やすい」という3本の正体ですね。)

ステージでは良く使っていたように思われる71サンバは、スキャロップも雑だしフレットも替えず、実はあまり気に入っていなかったような気がするので、私としては72年のブラックかサンバを使ったのではないかと考えます。

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そんなことを考えていたら、急にそれを作りたくなってしまいました。

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アセンブリと極太アームは持っているけど、ネックは無いしブラックのボディは売ってしまったので、新たに素材を手に入れなくてはなりません。(続く)

 

追記:ジョン・ロードが撮影したというフランクフルトでのレコーディング風景の写真(写真集からのキャプチャー)を発見しました!

弾いているギターは72年式のブラックですね。(サンバーストかもしれませんが)

大先生の背後にはマーシャルのヘッドらしきもの、衝立の奥にはメジャーと思しきBキャビハーフスタックが見えます。ケーブルを辿ってみると、イアン・ペイスが邪魔してはっきり分かりませんが、奥のハーフスタックにつないでいるように思えます。でもトレブルブースターは見えないですね。

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リッチー大先生の1972年ストラトキャスターのブリッジに挟んであったプレートの謎

1972-73年頃に使用していた、72年式のブラックとサンバーストのストラトキャスター・・・ブレット式トラスロッドナット、マイクロチルト機構付き3ボルトジョイント・・・のブリッジプレートとサドルの間には、トレモロのスプリングキャビティカバーの白いバックパネルを切断したものが挟んでありました。その後74年からメインに使用していた72年式のナチュラルのストラトでは、アコースティックギターのブリッジ材が挟んでありました。いずれもサドルの高さを上げるためのスペーサーと思われていましたが、そうではない可能性が出てきたのです。

 

私が以前にナチュラルのレプリカをフェンダージャパンのボディで作った際にアコギのサドル材を入れてみたのですが、12フレットで3ミリという弦高でセットすると未熟な私には弾き辛く、2ミリ弱まで下げたらサドル固定ねじがサドルの上面に飛び出すような状態でした。つまりアコギサドル材は、全然スペーサーの効果が無かったわけです。(笑)
その時は「カッコだけ」でいいやと思っていましたが、なんとも釈然としないところでありました。

 

そして75年のストラトを手に入れたので、リヤピックアップを最大に上げて12フレットで弦高3ミリというセッティングに再挑戦したのですが、スペーサー無しでもサドルねじは十分な噛み合いを確保していて、ぐらついたりすることが無いことが分かりました。ということはリッチー大先生の72年式ストラトのスペーサーは、サドルを上げるという機能を狙ったわけではなかったではないか?

色々考えてみて、あれはトーン調整のパーツだったという推測に至りました。

 

話は少し脱線しますが、当時リッチー大先生がメインに使っていたストラトについて触れておくと、1号機の1968年式ブラック/メイプル指板は、ピックアップ巻き数が約8000で、トーンキャパシタは0.1マイクロファラド(uF)、プレスサドル、ベースプレート、イナーシャブロックなどのトレモロブリッジのパーツはすべて鉄製でした。どちらかというとミッド寄りにピークのあるファットなトーンと言えます。

 

2号機は1970年式サンバースト/メイプルワンピースで、ピックアップは約7600巻、キャパシタが0.047uF、ブリッジは同じく鉄ですが、68ブラックよりややトレブリーなトーンを持っていました。DVDになっている72年のコペンハーゲン公演「マシンヘッドライブ」のアンコールでギターを持ち替えた時に、その違いがはっきり分かります。
このギターは割と頻繁にステージで使用されていた印象があるのですが、極太アームこそ取り付けられたものの、スキャロップは雑で削りっぱなし(塗装していない)、フレットも交換せずペグはFキーのままという雑な状態でした。RBギターズの執筆者である牧原氏も指摘していましたが、お気に入りではなかった(特にトレブリーな音が)のではないかという気がします。
当時はマーシャルメジャーを改造したり、ホーンバイスキューズのトレブルブースターを使用していたので、微妙にトレブリーな点が気に入らなかったのかもしれません。

 

そして72年式のブラック、サンバーストを手に入れると、どちらも太いフレットへの交換とスキャロップ加工を施して指板を塗装しています。
ブラックはシャーラーのM6を取り付けてダイキャストのブリッジのままスペーサーを入れました。
サンバーストはFチューナーのまま、鉄ブロックのブリッジ(鮮明な写真が無くプレスサドルかダイキャストなのか不明ですが)に極太アームを取り付けてスペーサーを入れました。

この2本は電気的なスペック的は70年式サンバーストと同じで、68年式と比べたらやはりトレブリーなトーンだったはずです。

 

耳ざわりなトレブルが嫌いな大先生は、「サドルとベースプレートの間に鉄より柔らかい物を挟んで振動を殺せばトーンがマイルドになる」と閃いて実践したのではないか?
それが私の推測です。

私がアコギブリッジ材を挟んだ時には、わずかにアタックやサスティーンが弱くなり、少しマイルドな(悪く言えば死んだ弦のような)トーンだったような気がしていました。

リッチー大先生は、トレモロのバックプレートでは柔らかすぎたために・・・これがアルバム「Who Do We Think We Are」のマイルドなサウンドの一つの要因だったかもしれませんが・・・次のナチュラルではアコギのサドル材を使ったものの、その後はトレブルブースターの使用を止めてアイワのTP-1011に移行しトーンが改善されたので、スペーサーは不要になったのではないでしょうか。

 

オリジナルフェンダーのバックプレートはありますが、さすがにそれを切ってしまうのはもったいないので、何か似たような硬さの塩ビ板を探して実験しようと思います。